概 要
給電情報伝送システムは,電力系統を安定かつ効率的に運用するため,広範囲に多数散在する電気所の給電情報や設備運転状況を給電所で迅速かつ確実に把握し,的確な操作指令を該当の電気所などに対して行う給電業務遂行に必要な情報を高信頼度で伝送するシステムである。
近年,レガシー型情報伝送装置が減少するなか,給電情報伝送システムを構成する機器も,従来の電力独自仕様機器から汎用品のIP機器や国際標準規格などの適用について検討・導入が進められている。
また一方で,電力インフラに対するサイバー攻撃が現実化するなど,給電情報伝送システムの設計について,最新技術動向やさらに顕在化しつつある様々な課題への対応についての整理が必要となった。
このような状況を踏まえ,各電力会社の給電情報伝送システムの設備構成実態・故障実績や技術動向などについて調査・分析し,IP技術を用いた給電情報伝送システムの信頼度を評価するとともに,多様化する給電情報伝送システムの要求条件を満足しつつ信頼性を確保するための設計手法について提言した。