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電気エネルギーシステム(電力システム、電力系統とも呼ばれる)は、電気エネルギー(電力)の発生から消費にいたるシステムのことである。このシステムに関して、地球温暖化への対応、再生エネルギー利用などの電気エネルギー発生への課題、スマートグリッドに代表されるシステムに関する提案、電力システムの自由化などの経済に関わる政策など、多方面からの話題が提供されている。
このような状況で、電気エネルギーシステムに関して、広く一般的な関心が深まり、様々な観点からの議論が盛んである。基本的共通認識なしで議論を進めることは無意味であると考える。
そこで、今までの電気エネルギーシステムの構築・運用に関する基本的な考え方をまとめ、それを公にしておくことは重要であると考え、ここにまとめるところである。
電気エネルギーシステムから生み出す商品は、電気エネルギーである。商品としての電気エネルギーは、商品量とその必要消費量が瞬時的(秒単位あるいはそれより短い)に等しいことが求められている。このことを同時同量なる言い方がされる。同時同量がなされないと、厳しいときは全停電を引き起こす。このことは、このシステムの本質的特徴であり、システムを安定に運転することは容易でないことが示される。
電気エネルギーの重要性は言うまでもないことである。安全・安心に関しては基準を満足し、その電気エネルギーシステムを安定に運転することを最優先課題とし、その条件の中で経済的に運用することが電気事業者(電力会社)に課せられている。安全・安心に対する基準は、当然、常に見直しが行われなければならない。
電気事業は、電気エネルギーシステムがこういった性質を持っていることに加え、極めて重要な商品であるが故に、発電はもとより、送配電と小売の各々が協調することで、低廉で良質な電気の安全かつ公平な供給を実現してきた。
本書は、電気エネルギーシステムの性質およびその事業の特質に則した技術や設備をベースとした産業である電気事業の現状と課題について、技術的・歴史的な観点を大切に、Q&A方式で平易に解説したものである。一人でも多くの方にこの資料をご覧になっていただくことで、電気事業についての理解を深めていただければ幸いである。
監修:仁田 旦三
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