【概要】
近年,電力系統監視制御システムにおいて,汎用計算機や汎用ネットワーク技術などの適用が拡大されつつある中,様々な問題が顕在化してきた。
そこで,今回,電力系統監視制御システムの構築から保守に至る実態を洗い出し,その結果浮き彫りとなった課題の解決に向けて,システムを構築するうえで配慮すべき事項,汎用技術の適用などの検討を行った。また,電力系統監視制御システムに関わる国際標準や海外のパッケージソフトウェアの導入に向けた検討も行った。
本報告書は,6つの章にて構成されている。第1章では,本専門委員会の設立経緯と調査・検討概要などをまとめた。第2章では,電力系統監視制御システムに採用されている装置などの変遷,今回調査時点の構成,使用装置,採用OSなどの実態,およびライフサイクル上の実態,ならびにリプレースやハードウェア更新に関する実態をまとめた。第3章では,装置,OS,ソフトウェア,ネットワークなどの設備面での課題,リプレースやハードウェア更新に関する課題,さらに技術力と教育に関する課題などを整理した。第4章では,電力業界以外の業界にて使用している監視制御用のシステムに関する調査結果,および電力系統監視制御システムの国際標準化の動向,海外のパッケージソフトウェアの調査結果をまとめた。第5章では,第3章にて整理した課題への対策をまとめた。第6章では,現状では解決できない課題,および社会情勢を考慮しつつ電力系統監視制御システムの構築において,今後考えていかなければならない事項をまとめた。