今回発刊する指針の前身である電気協同研究第42巻第2号「水車付属設備の設計指針」(以下、電協研第42巻2号という)は、中小水力発電所(概ね1,000~20,000kW)を対象とした水車付属設備の設計の指南書として昭和61年に発刊され、それ以降、数多くの水力発電所の新設工事あるいは改修工事等に活用されてきた。その間、ユーザ各社では、品質とコストのバランスを勘案しながら、新技術の導入や合理化を図った設備形成を目指してきているが、これらが明確となった指針がこれまでなかった。また、電協研第42巻2号は、前述のとおり中小水力発電所の水車の付属設備の設計指針であり、揚水発電所および発電機の付属装置について触れられていなかった。
したがって、電協研第42巻第2号の適用範囲を揚水発電所にまで拡大し、また、発電機の付属装置を盛り込み、更に各社の新技術の導入や合理化の実績を反映することで、水力発電分野に携わる多くの技術者のみなさまへ品質の維持と設備の合理化ならびにコストダウンなど、本指針が、付属設備の設計に必要な情報をお届けできることで、今後の水力発電の更なる発展に寄与できることを切に願うものである。
本指針に記載した設備は、以下のとおりである。なお、*は、電協研第42巻第2号から追加した章を示す。
入口弁、調速機、圧油装置、空気圧縮装置 *、電動サーボモータ・電動入口弁 *、潤滑油装置、給水装置、排水装置、付属装置用電動機、励磁装置 *、可変速二次励磁装置 *、揚水始動装置 *