近年の電力事業を取り巻く環境は、電力需要の飽和傾向がみられる中、電力会社をはじめとした設備利用者では既設設備の維持管理に重点を置いた運用が必要となってきている。
今後は高経年設備がいっそう増加することから、設備保全に投入する費用、要員などを効果的に運用し、設備の信頼度を維持していくため、より効率的な保全技術、保全体制、設備対策の重要性が高まってきている。
本報告書では、効率的な地中送電設備の保全に寄与することを目的とし、地中送電設備の異常、劣化特性を踏まえ、地中送電設備に対するケーブルの保全に関わる動向調査を行うとともに、今後の方向性などを取りまとめた。
【主な記載内容】
1.地中送電設備の種類・構造・変遷について整理した。また、2010年度末時点での国内電力会社の
設備数量や設備事故、および2010年度に新規で発見した不具合に関するアンケートを行い、結果を
整理・分析した。
2.国内電力会社で現在行われている保全内容の実態や地中送電設備に関係する法令、海外における
保全の動向について調査するとともに、巡視と点検のポイントなどを取りまとめた。
3.地中送電設備の異常、劣化特性を踏まえ、現在のCVケーブル設備、OFケーブル設備などの点
検技術について取りまとめるとともに、OFケーブル接続部の油中ガス分析判定基準については、
従来の判定基準の評価を踏まえ、精度向上の検討を行った。
4.地中送電設備の異常、劣化特性を踏まえ、設備異常に対応する技術について不具合事象別に取り
まとめた。また、設備事故発生時に対応する技術を、事故発生から事故復旧の流れに沿って取りま
とめた。
5.今後、より効率的に設備を維持・管理していく必要性が求められてきているなかで、設備管理、
設備監視を効率化している手法について取りまとめた。
本書は、電力会社や地中送電設備をお持ちの関係者の方々をはじめ、電気技術者や電気技術者を目指す方々にまで広くご活用いただけるものと確信しております。より多くの皆様からのお申し込みをお待ちしております。