震災以降、エネルギー需給構造が大きく変化する中、低炭素化、電力ピーク抑制、節電、再生可能エネルギーの接続、分散型電源の拡大等の多様な課題を、ICTを活用して需給一体で解決し、電気の利便性を享受しつつ、エネルギー利用の最適化を図るスマートグリッド技術への注目が集まっています。電気協同研究会においては、これらの状況を踏まえ、最近の技術やビジネスの進展が著しい「電気を使う側」でのスマート化、能動化に焦点をあてた研究討論会を昨年11月5日に開催し、今般、研究討論会の講演、パネルディスカッション等について整理し書籍として出版することになりました。
研究討論会においては、まず、次世代の電力システムが直面する問題と対応の方向性について基調講演がなされ、続いて①「スマートハウスとHEMS」、②「新電力における新サービスへの取り組み」、③「地域コミュニティーと次世代モビリティーが創出する低炭素社会」、④「スマートグリッドとスマートハウス・ビルの相互連携技術標準化の推進」、の電気を使う側の取り組みが紹介されています。続いてパネルディスカッションでは冒頭系統側から見るスマートグリッドの紹介がなされています。
さまざまな取り組みが関係者によって精力的に進められている一方、スマートグリッドを活用するということは既存のシステムに新技術、新商品を組み込むという単純なものではなく何十年と続いてきた電力システム自体の変更に深くかかわっていて、全貌は見えてきていない。また、今後さまざまの観点、アプローチを踏まえて体系的に取り組む必要があることが本報告書から読み取れます。
スマートグリッドおよび電力システムに携わる全ての人に将来を考える際の指針を提供する一冊としてご活用いただきたく、皆様からのお申込みをお待ちしております。