配電設備は,面的に広がる電力需要に対応するため,多種多様な地域・環境条件の下に設置されており,このほとんどが屋外に曝露されていることから,環境を要因とした劣化が無視できません。このため,被害実態などを踏まえ地域を設定し,対策機材を適用していますが,劣化の要因となる環境因子および機材の耐用年数への影響を定量的に十分把握しているとはいえない実態があります。
こうした背景を踏まえ,施設された配電設備の劣化要因となる環境因子を定量的に評価,整理し,配電機材の耐用年数への影響を把握することを目的として,平成22年12月「配電機材に対する劣化環境の定量評価専門委員会」を設立し,配電機材に影響する劣化環境因子として「雷害」,「塩汚損」,「腐食」を取り上げて,約2年半にわたり調査研究を実施し,報告書として取り纏めました。
本報告書においては,①落雷数,雷害実績,設備実態について調査・分析を行い,季節別/設備別の雷害実態を用いてのリスク評価,②共通がいしを用いた曝露試験に基づく塩汚損の付着特性などの評価,③共通曝露試験片を用いた曝露試験結果による気象因子と腐食速度の関係などについての評価等を記載しています。
本書は,電力会社や配電設備をお持ちの関係者の方々をはじめ,電気技術者や電気技術者を目指す方々にまで広くご活用いただけるものと確信しております。より多くの皆様からのお申し込みをお待ちしております。