架空送電設備は,1950年代半ば以降の経済発展に伴い,急速にその設備量を増大させてきました。
また,1960年代以降には増容量化に伴い,多導体が導入され始め付属品数量も増加しております。
今後,長期使用設備の増加に伴い,劣化による異常発生の増大が懸念されます。これまでに鉄塔や電線などの劣化に関する知見のとりまとめはなされていますが,架空送電設備の効果的な保守・運用のためには,架空送電設備付属品においても劣化異常対応に関する知見を体系的にとりまとめておく必要があります。
このような背景から,電気協同研究会は「架空送電設備の付属品劣化異常対応調査専門委員会」を設置し,約2年間にわたる調査研究を進めて参りました。
本書は,その研究成果をとりまとめたもので,架空送電設備付属品を「多導体スペーサ」,「ジャンパ装置」,「防振装置」,「クランプ・スリーブ」,「着氷雪対策品」,「その他付属品」に分類し,これら付属品に関する劣化異常および保守技術について,電力会社10社および電源開発㈱へのアンケート調査により収集した事例をもとに,現状の知見および最新の保守技術についてとりまとめられております。
さらに,わが国と海外との架空送電設備付属品の劣化異常対応に関する違いを把握するため,文献調査により,海外における付属品の概要,劣化異常および保守技術も取りまとめられており,送電部門の関係者の方々をはじめ,電気技術者や電気技術者を目指す方々にまで広くご活用いただけるものと確信しております。多くの皆様からのお申し込みをお待ちしております。