近年の電気事業を取り巻く環境は、電力需要の飽和傾向がみられる中、各電力会社では設備の拡充・増強より、設備維持に重点を置いた運用が必要になってきております。
地中送電設備においても、高経年設備の割合が年々増加していく中で、設備維持コストを抑制しつつ、将来的なリスクを減らし、いかに信頼度を維持していくかが求められており、設備の状態把握を目的とした劣化診断技術や、効率的に設備維持を図るアセットマネジメントの重要性が高まっております。
このような背景から、電気協同研究会は「地中送電設備の劣化診断技術とアセットマネジメント専門委員会」を設置し、約2年半にわたる調査研究を進めて参りました。
本書は、その研究成果をとりまとめたもので、地中送電設備に対する劣化診断技術、地中送電設備のリプレイス技術やアセットマネジメントの動向調査結果をとりまとめるとともに、地中送電設備におけるアセットマネジメントのモデル例を示しております。
特にアセットマネジメント検討においては、いろいろな分野で行われているアセットマネジメントの動向や手法を調査し、地中送電設備特有の条件等を考慮したアセットマネジメントの考え方を示しております。