電力系統の解析技術 概要 近年、電力系統では需要規模の拡大、電力設備の立地難や環境問題から電源の遠隔・偏在化や長距離大電力送電が進んできており、合理的な系統計画のみならず、的確な系統運用を実践するには解析技術の活用は必要不可欠なものとなっている。 また、今後の分散型電源・パワーエレクトロニクス機器の導入拡大などに伴い、電力系統の特性が変化するとともに系統現象の複雑化が予想されるため、より高精度かつ効率的な解析技術が求められる。一方、近年の計算機処理能力の向上を背景とする解析技術の進歩には目覚ましいものがある。 このような状況を踏まえ、系統計画・運用の諸対策の検討および技術者育成に資することを目的として、特別高圧系統を対象にした系統解析技術の現状および今後の課題などについて調査・整理し、技術解説書として、以下のようにとりまとめた。 はじめに、第2章では電力系統の特徴を整理するとともに的確な系統計画・運用を実践するために系統解析技術の必要性を概説した。第3章では系統解析技術の変遷をアナログ計算機時代とディジタル計算機時代に大別して整理した。第4章では現在実務で使用されている各種解析手法ならびに実務での適用例を概説するとともに、解析精度比較・検証例を示し、十分な精度を有していることを紹介した。第5章では解析モデルの精緻化や解析手法の高度化の動向や規制緩和等の状況変化への対応などを概説するとともに、解析技術の今後の課題について整理した。