変電設備の運用限度評価 概要 電力需要の伸びの鈍化と電力小売り部分自由化の開始を背景に、電力各社は設備投資抑制を重要課題とし、既存設備のさらなる有効活用に取り組む必要が生じてきた。 一方、電力各社は、高稼働時に変圧器を代表とする変電設備に事故が起きた場合、健全設備を一時的に過負荷運用して対応してきた。このことから、今後、設備投資の抑制に伴う既存設備の稼働率の上昇に併せて、さらなる過負荷運用が必要になると考えられる。 そこで、本研究では、変電所、開閉所および発電所に設置される変電設備を対象に、設備事故時に必要となる一時的な過負荷運用に対する機器個別の運用限度を、従来の規格許容値や知見にとらわれず、構成部位・部品ごとの限界まで踏み込んで評価する方法についてまとめた。そして、さらに機器個別の運用限度評価結果を基に、電気所全体の運用限度評価方法をガイドライン化した。また、過負荷運用時のリスクを明確にし、必要な監視・点検手入れの項目について整理するとともに、将来に向けて、過負荷運用時の信頼性向上や、運用限度をさらに引き上げるための提言も記載した。 今回の研究結果から、機器および電気所の運用限度は、従来の規格や知見に基づくものよりも引き上げられる可能性が明らかとなった。