架空送電設備の補修・改修技術 概要 近年、電力需要の伸びの鈍化に伴い既設送電設備の増強機会が少なくなり、今後使用期間の長い設備が増加する。これに伴い送電設備の劣化・異常に対して、設備の状態を的確に把握し、効果的な補修による延命化を図っていくことが、より安価で安定した電力供給に資することにつながる。 さらに電線高上げなど地域社会の発展に合わせた改修や既設設備を有効活用した増容量化などの改修を行っていく必要がある。 本報告書は、架空送電設備の【点検・診断技術】、【補修技術】、【改修技術】の他、より経済的な【仮工事技術】、【海外の現状】についても取りまとめた。 始めに、設備の実態を把握するため、国内電力11社における経年別・汚損別設備量などを調査するとともに、顕著な劣化・異常の事象やその発生要因について調査し取りまとめた。 点検・診断技術については、設備状態を効率的に把握する各種点検技術と設備状態を的確に判断するための各種診断技術について調査し、画像処理などを取り入れた技術や活線状態で適用可能な技術など最新技術を中心に従来から一般的に適用されている技術も含め取りまとめた。 補修技術については、機能維持を目的として行われる各種技術・工法について調査し、鉄塔部材塗装工法や電線腐食に対する張替工法など近年新たに考案された工法を中心に従来からの技術や新しい工法で現在一般的に適用されている工法など全般にわたり取りまとめた。 なお、これら技術の取りまとめに当たっては、劣化・異常事象から適用されている各種技術を整理し、構成設備ごと(基礎体および鉄塔敷地、鉄塔、がいし・架線金具、電線・地線)に記載した。 一方、機能向上を目的として行われる改修技術については、既設設備を有効に活用した地上高増大対策や送電容量の増加対策などについて取りまとめた。地上高増大対策としては、鉄塔嵩上げや特殊電線による電線高上げ技術などについて記載し、送電容量の増加対策としては、稼働率向上技術と運転電圧の昇圧について記載した。